2016年04月26日 ECS LIVA にGentoo Linuxをインストールする

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ECS LIVA にGentoo Linuxをインストールする

ECS LIVAのファンレスPC(LIVA-C0-2G-32G-W-OS)を購入し、Gentoo Linuxをインストールしました。UEFIとeMMCのkernel configがポイントです。

ECSのLIVAにGentoo Linuxをインストール

静音サーバーが欲しかったので、LIVA-C0-2G-32G-W-OSを購入しました。

Windows8がインストールされていましたが、それを消去。使い慣れたGentoo Linuxをインストールしました。以下、要点を掲げておきます。

用意したもの

・LIVA本体
・Gentoo Live DVD
・USB外付けのDVDドライブ
・ダミープラグ

インストールメディアはLive DVD


手元にUSB外付けDVDドライブがありましたので、GentooのLiveDVDを使ってインストールしました。minimalCDと違い、LiveDVDはeMMCもちゃんと認識してくれます。

インストール先は/dev/mmcblk0

HDDやSSDの場合、インストール先は/dev/sdaとなりますが、ECS LIVAに搭載されているのはeMMC。インストール先は
/dev/mmcblk0
となります。

UEFIのためのディスク構成

LIVA-C0-2G-32G-W-OSに従来のBIOSは無く、UEFIによる起動のみとなります。そこでfidskの代わりにgdiskを使い、パーティションを作成しました。今回は単純に

/dev/mmcblk0p1 VFAT32(128MB)
/dev/mmcblk0p2 ext4(残りすべて)

としました。

chroot前のmount

Gentooのインストールに欠かせないchroot。準備段階としてインストール先のディスクをmountしますが、

/dev/mmcblk0p2 /mnt/gentoo
/dev/mmcblk0p1 /mnt/gentoo/boot/efi

となるようにしておきます。

chroot、stage3展開、各種設定

このあたりはGentooのHandbook通りです。
なお32bitの互換は考慮しておりませんので、stage3はnomultilibを使用しています。

grubの準備

UEFIのため、下記の一行を追加してから、grubをインストールします。これによりUEFIに必要なefibootmgrやpciutilsなどもインストールされます。

nano /etc/portage/make.conf
GRUB_PLATFORMS="efi-64"
emerge grub

kernel Configration

LIVAへのLinuxインストールで最大のポイントとなるのがkernel configです。UEFIで必須になるものと、MMCで必須になるものとがあります。それらを有効にしましょう。
私はgenkernelを使いましたが、genkernelはデフォルトでPin controllers(pinctrl)の項目がありません。その場合、Processor type and featuresの項目に進み、Intel Low Power Subsystem Supportを有効にしてください。そうすればDevice DriversにPin controllersの項目が現れます。


※UEFIで必要になるもの(HnadBookにも記されています)
Processor type and features --->
[*] EFI runtime service support
[*] EFI stub support

Firmware Drivers --->
<*> EFI Variable Support via sysfs

Enable the block layer --->
Partition Types --->
[*] Advanced partition selection
[*] EFI GUID Partition support


※MMC認識で必要になるもの

Device Drivers --->
<*> MMC/SD/SDIO card support --->
<*> MMC block device driver (NEW)
<*> Secure Digital Host Controller Interface support
<*>SDHCI support for ACPI enumerated SDHCI controllers

Processor type and features --->
[*]Intel Low Power Subsystem Support

Device Drivers --->
Pin controllers --->
[*] Intel Baytrail GPIO pin control
<*> Intel Sunrisepoint pinctrl and GPIO driver

grub2-install

カーネルが出来上がれば、grub2-installです。

grub2-install

だけで結構です。UEFIの場合はコマンドオプションで/dev/sdaのようにドライブを指定する必要はありません。そして設定ファイルも作成します。

grub2-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg

再起動(reboot)

以上でインストールは完了です。
再起動してください。

エラーの場合

インストールは出来たが、再起動したら途中で止待ってしまう場合

※loading initial ramdiskで止まる
loading initial ramdiskで止まる場合、UEFIで躓いている可能性が大です。私の場合はkernel configで

-> Device Drivers
-> Graphics support
-> Frame buffer Devices
[*]EFI-based Framebuffer Support

この設定が外れていました。デフォルトではYになっているはずですが、Graphics supportの項目を触ったことがある人は再確認してください。


※root deviceで止まる
起動はするけども、root deviceで止まる場合はeMMCを見つけられなかった可能性が高いです。キーボードを受け付ける状態なら

/dev/mmcblk0p2

と直接入力してください。それで上手く起動するなら、eMMCの認識が追い付いていないかもしれません。grubのオプションにscandelay=5
などと追記し、数秒の待ち時間を設けてみましょう。

nano /etc/default/grub
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="scandelay=5"
grub2-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg

モニター無し(headless)での運用は基本無理

めでたくインストール完了。無事に起動できたとしても、このLIVAはモニタ無しの運用は出来ません。起動時にハードウェアがディスプレが繋がっているかどうかを確認し、ディスプレイが見つからないとそこでSTOPしてしまいます。
サーバーなどディスプレイ無しで動かすには、LIVAに「ディスプレイが繋がっている」と思わせなければいけません。そのために必要になるのが「ダミープラグ」です。

amazonなどで販売されています。Dsub-15ピン用のものと、HDMI用のものとがあります。どちらか一つ購入して繋げておけば、LIVAは「ディスプレイが繋がっている」と勘違いし、OSを起動してくれるようになります。

恐らく他のLinuxでも応用できるかも

ここに記した内容はGentoo Linuxユーザー向けの内容ですが、UEFIとeMMCのkernel configの設定さえ守れば、他のディストリビューションでも起動までは持ち込めるのではないでしょうか。
この記事でLIVAに各自おススメのディストリビューションがインストールされることを願ってやみません。

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